「転職エージェントはどうやって利用すればいいの?」と思う人、少なくないですよね。
私は実際、転職エージェント経由で今の職場(人事部)に転職しました。
そして現在、私は「採用側」になりました。
そこで転職希望者を見ていると、「もっと転職エージェントは上手く使える」と思います。
今回は「利用者側」と「採用側」の2つの視点もふまえて、本当に有効な転職エージェントの利用方法をお伝えします。
まずは転職エージェントのしくみを簡単に
転職エージェントとは、転職希望者と企業の間に入り、転職を成功させる人たちです。
よく紹介会社とも言われますね。
企業の求人情報を自社に集め、登録された求職者のニーズに合う求人を紹介するのです。
求職者の利用は無料です。タダです。
そのかわり、紹介した求職者の採用が決まった場合、成功報酬として想定年収の2〜3割が転職エージェントの会社に支払われます。(たまに例外の会社もありますが)
(例)年収400万で採用→80万の成功報酬(2割)
数字で書いてみると結構高いですよね笑
つまり、転職エージェント側としては、求職者を採用まで繋げないと報酬がもらえません。
採用する側としては、転職エージェント経由で採用する際には多額の費用を支払うのです。
だから求職者は無料なんですね。
このしくみを頭の片隅に置いておいてください。
転職エージェントの利用方法
転職エージェントのメリットとは
では、転職エージェントにはどんなメリットがあるか考えてみましょう。
よく言われているメリット挙げると、
1.キャリアアドバイザーから客観的なアドバイスがある
2.希望を伝えておけば、エージェントの担当者が求人情報を集めてくれる
3.企業とのパイプがあり、事前に企業からだけではわからない情報も教えてくれる
4.履歴書・職務経歴書の添削や面接練習などの相談ができる
5.面接日などの日程調整や、場合によっては年収交渉もしてくれる
といったところでしょうか。
転職に対して不安な人、現職と転職活動との両立で時間に余裕がない人、誰かに相談したい人には、心強い存在となってくれるでしょう。
私も、今の職場に導いてくれた転職エージェントにはかなりお世話になりました。(特に2と4)
そのメリットは本当?潜む落とし穴
ただ、先ほど紹介したような転職エージェントのメリットは、あくまでも機能すればの話です。
どこの組織でもそうですが、時と場合によっては理想の形が機能していないことがあります。
そこには、上記のメリットを期待通りに得られないという落とし穴が潜んでいます。
例えば、「1.キャリアアドバイザーから客観的なアドバイスがある」とあります。
しかし、アドバイザーでも客観的でない人(報酬目的が強い)や、スキルが高くない人(アドバイスが的確でない)が担当になるかもしれません。
そうなると、メリットと思っていたことが結果的にデメリットにもなり得るのです。
転職エージェントを使うと、企業と求職者の間に1つ工程を増やすことになります。
この間が機能していないと、企業と求職者が正確な情報共有ができずミスマッチが起こります。
利用する際は注意しましょう。
転職エージェント利用例
私はいくつもの転職エージェントを併用して転職活動をしていました。
そこから2社に絞り、最終的には最も対応が良かった1社の人とのやり取りになりました。
なぜ絞っていったのか?
残った1社は何が良かったのか?
事例をもとに、その理由を紹介しましょう。
失敗談① 希望業界に否定的で、理由も曖昧なまま他求人に誘導するエージェント
私は大学職員か人事系の仕事を第1希望としていました。
たまたま非公開求人として大学職員の求人がサイト内に出ていたので、詳細をエージェントに問い合わせました。
私「この(非公開求人・大学職員)が気になるのですが、応募できますか?」
A「あ、その求人は大変なので辞めた方がいいですよ。理事長が頑固でストレス溜まるそうですし、キツイと思います。」
私「じゃあそれを確認する意味も込めて応募したいです。未経験可と書いてありますが、経歴とか年齢とか条件面で難しいでしょうか?」
A「それもあります。でも1番は適正の部分だと思います。堅い環境なので閉鎖的ですよ。○○さんのような外交的な性格と経歴であれば、こういった求人が。、。、(ここから聞いてない)」
…はい。それからこのエージェントを利用しませんでした。笑
希望の求人がなかなかないことはありますが、こちらの要望とあまりにかけ離れた対応をされる場合、注意が必要です。
行動の特徴としては
・理由や提案が明確でない
・希望に対して否定的
・特定の業界や求人への誘導が露骨
・決めつけて物事を判断する
など。
対人なので多少は仕方なくとも、うまく意思疎通が取れない場合は利用頻度を下げた方が良さそうですね。
失敗談② 転職エージェントを頼りすぎた人
これは、転職エージェント経由での求職者を面接した時のことです。
当時、財務部から中途採用の希望があり、ある紹介会社に依頼をしました。
希望の人材要件としてこちらが伝えたのは、
1.できれば財務経験のある人が良い
2.実務未経験でも、簿記3級程度の知識があって20代後半までであれば可
3.店舗管理や店長など、数字を扱うことに慣れている人は要相談
4.財務部でも時には関係部署への折衝要素もあるので、営業などコミュニケーションスキルがあると良い
上記4点でした。
数日後、紹介されたのは「30歳・財務経験なし・簿記知識なし・営業経験者」でした。
プロフィールに少し不安もありましたが、3と4を備えているかもしれないので、一応面接しました。
しかし、いざ面接をしてみると。。
面「あなたの経験を活かして、入社後どのように活躍できるか教えてください。」
応「営業で培った人間関係構築力で、関係部署と円満な繋がりを作ります。」
面「財務経験や知識はないようですが。。」
応「円満な関係を作ったうえで、聞きながら覚えたいと思います。」
面「聞きながらも大事ですが、まずは自分で努力して吸収していく姿勢がないと、円満な関係は作れないと思いますよ。
ちなみに、今回の求人はどんな仕事内容だと認識されていますか?」
応「財務の観点から、関係部署を繋ぐ仕事です。」
面「それはエージェントからの情報ですか?ご自身でホームページなど調べましたか?」
応「エージェントの担当者からです。ホームページは少し見ました。」
…はい。
まさにダメな典型例ですね。
採用側の要望は財務業務メインですが、なぜか求職者には営業メインで認識されていました。
実際、後ほどこのエージェントに問い合わせたところ、求職者と企業の担当が別であり、うまく情報共有ができていなかったそうです。
この場合、主な原因は転職エージェントです。
ただ、求職者としても自分で応募企業を調べることはもちろん、仕事内容をある程度想像しておくべきでしょう。
わからない時は、それこそ転職エージェントに聞くべきです。
成功談 ニーズの把握が上手く、提案も明確だったエージェント
微妙な事例ばかりではないので、私が成功した時の転職エージェントの対応を紹介します。
先の例にも書きましたが、私は大学職員か人事系の仕事を第1希望にしていました。
その情報をもとに、エージェントと面談をしました。
A「まず最初に、大学職員は求人がかなり少ないうえに、人気なので倍率も高いです。探すなら時間かかりますよ。」
私「それは大丈夫です。」
A「では、求人が出てきたらお伝えします。
あと、人事系の仕事は経験を求められることが多いです。未経験の方はハードルが上がるかもしれません。そもそも、なぜこの第1希望なのですか?」
私「今までの仕事の中で、後輩教育や学生アルバイトの進路支援に1番やりがいを持ったからです」
A「他の人の仕事や職業選択の支援をしたいということですね。であれば私たちのような人材業界もありますが、それは違うのですか?」
私「そうですね。本音としては、なるべくビジネス要素が少ない大学等が理想です。」
A「では、第1希望と類似してそうな求人は一応提案だけしますね。
人事系は社内の円滑なコミュニケーションが求められます。未経験可の求人であれば、折衝能力のアピールが有効な会社もたまにあります。それに大学職員も含めて、また提案させていただきますね。」
…はい。
結果として、この後提示されたいくつかの求人の中に、今の会社がありました。
何が良かったかをまとめると次の通りです。
・良いこと悪いこと含めて、発言が明確でわかりやすい
・「なぜ転職するのか」「どういう働き方がしたいのか」というニーズの深掘りが上手
・ニーズを把握しているから、類似した求人も提案してくれる
・過去の経験を活かせるポイントを探して繋げてくれる
上記2つの失敗談のようにならないために、転職エージェントも判断する目を養いましょう。
転職するのは自分自身!エージェントに頼りすぎない
転職エージェントは、非常に便利です。
間違いなく利用した方が良いと思います。
自分のかわりに色々と動いてくれるので、つい楽をしたくなるかもしれません。
ただ、実際に転職するのは自分自身です。
自分にとって有益な情報かどうかは、自分で判断しなければなりません。
転職エージェントに頼りすぎないという意識は、常にしておくべきでしょう。
また、色んなサイトでおすすめ転職エージェントが紹介されています。
でも、本当におすすめかどうかは、自分で使ってみないとわかりません。
情報だけにとらわれず、自分の意思を持って悔いのない転職活動をしてほしいと思います。