労働者人口不足の影響もあり、今世間では売り手市場と言われています。
売り手市場とは、求職者より求人数が多くなるということです。
つまり就活生にとって有利な状況です。
そのせいか、仕事で大学のキャリアセンターを訪れると、担当者は口を揃えて「今の学生は就活への温度が低い」と言います。
その理由は「売り手市場=簡単に就職できる」という認識を持っているのでしょうか?
売り手市場は就活に有利と言うけど、実際どうなのでしょうか。
一度考えてみましょう。
大企業や人気企業は常に競争
有効求人倍率は条件によって変わる
リクルートワークス研究所の調査によると、2020年卒の新卒有効求人倍率は1.83倍でした。
1人の人に対して、約2倍ほどの求人数があるということです。
これだけを見ると、簡単に就職できそうな気がしてきますよね。
しかし、ここでいう求人倍率はあくまで全体の数字です。
企業規模や業種によって、この有効求人倍率は大きく変わってきます。
従業員数
300人未満 8.62倍
300〜999人 1.22倍
1000〜4999人 1.08倍
5000人以上 0.42倍
従業員数で有効求人倍率を比較してみると、その差は一目瞭然ですね。
数字が低いほど求人は少ないです。
ここまで有効求人倍率に差が出ているということは、人気のある企業に応募が偏っているということです。
5000人以上の大手企業は0.42倍と超が付くほどの買い手市場です。
直近10年でも0.5倍前後を推移しており、継続的に人気が集中しています。
理由はいくつもありますが、やはり安定して経営力のある大手企業の人気はいつの時代も変わりません。
また、中規模といえる従業員数300〜999人では1.22倍、1000人〜4999人では1.08倍です。
大企業でなくてもある程度力のある優良企業はありますので、今度は中規模企業の中で人気が偏ってくるのです。
企業規模だけでなく、人気のある業種にも偏りがでてきます。
リクルートワークス研究所に記載があったデータは、業種の幅を持たせすぎてあまり参考にならなかったのでここでは紹介しません。
ただ言えることは、売り手市場とは人気企業や優良企業以外の話です。
就職活動において激しい競争があることは間違いありません。
売り手市場に余裕はない。競争に負けると希望条件は遠のく
大手企業や人気の業種は競争が激しくなるということは、競争に勝ち残らないと希望の就職ができないということです。
そもそも、人気のある企業はなぜでしょうか?おそらく、その理由は働く環境や条件が良いからに他なりません。
逆に言えば、人気のない企業や業種は、働く環境や条件がそこまで良いと言えないからでしょう。
一般的に給与相場が低い業種や、厳しいノルマがある業種はどうしてもあります。
小規模企業の方が、経営する馬力が小さく将来への不安を感じやすくなります。
もちろん例外もありますが。
そして、そういう人気のない企業や業種こそ人は来ないので、人手不足により売り手市場と言われているのです。
ということは、売り手市場だからと余裕を持っていると、自分の希望する就職に繋がらないどころか、厳しい条件の企業へ就職することにもなります。
今こそ「真剣さ」が周りと差をつける
就職活動に挑む際には、もはや売り手市場という言葉を鵜呑みにしてはいけないことは明らかでしょう。転職も同じですが。
どこかには就職できるだろうと油断していると、どんどん競争に負けて選択肢が狭くなってしまうかもしれません。
今、時代とともに人の価値観も変わってきています。
世間の風潮として、仕事を頑張りすぎない、無理をしない、ほどほどに働いて余暇を楽しむという考えが広まっているように感じます。
まあパワハラや過労死、ブラック企業などの悪質な労働環境がピックアップされてきていますし、真っ当な価値観だと思います。
しかし、この風潮が仕事への真剣さや熱意を薄れさせている気もします。
売り手市場だからこそ、真剣に自分と向き合い、将来を考える就職活動にするべきでしょう。
真剣にというのは、しっかり素直な自分と向き合い続けることです。
その結果、大手企業を目指すのか、中小でもやりたいことや挑戦ができる企業を目指すのか。きっと、どちらでも正解です。
全ては、自分に合う企業、自分が希望する働き方を叶えるために。
売り手市場には惑わされず、真剣に考えて就職活動をすること。
それこそが、周りとの差を一歩広げる要因となるでしょう。